「真の山姥をば如何なる者とか知らしめされて候ぞ」
山姥とは
山に住む鬼女とこそ
見えて候らへ
「鬼女とは女の鬼とや
よし鬼なりとも人なりとも
山に住む女ならば
わらはが身の上にてはさむらはずや」
「」内は シテ 女(後シテで山姥となり現れる)の言葉です
私個人の内面に棲む「鬼女」は
舞いながら
狂わんばかりの時も
謡いながら
風に乗り 悲しみを背負う人に向かう時も
様々の山姥を追いかけながら
そして追いかけられながら
鬼 となって日を送っています
この舞手は
その途上にいます
身を削るような時間の間隙を縫うように
ギリギリの思いで
稽古にやってきます
私も心を鬼にして
舞台の板の上で
本物の鬼女に近づけようと
丁々発止
迫っています
限られた時間
限られた人間の命
その中で
何が表現できるのか
勝負だと思っています
愛媛県文化祭 泰鳳会
「能管の調べと仕舞五題」より
山姥
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