前途ほど遠し
思いを雁山の夕べの雲に馳す
平家都落ち
その中で一人 忠度は
一巻の彼の家集 百余首を
師である俊成に託すために
引き返した
思いを
師に伝えられた忠度は
今は西海の波の底に沈まば沈め
山野にかばねをさらさばさらせ
浮世に思いおくこと候はず
さらばお暇申して
と
再び馬上の人となり
西に向かい去っていく
遥かかなたから遠く
忠度の声
前途程遠し
思いを雁山の夕の雲に馳す
平家物語巻七 忠度都落
です
今回の座学では
世阿弥 忠度
の謡曲の前半を受講の方々に
解読して頂き
そのあと
平家物語巻七
を私から読ませて頂きました
平家物語は
基本 音読にて
理解して頂こうとしています
平曲の読み聞かせの観点からです
前途程遠し
ここからは私はいつも
声が出ない
涙無くして読めない
みなさん 静かに目をプリントに落とし
それぞれの思いを
遠く馳しておられる?ご様子でした
ささなみや志賀の都は荒れにしを
昔ながらの山桜かな
俊成が勅撰和歌集 千載集に
読み人知らず
として
選んだ忠度の和歌です
朝敵の身となった上は
後白河院の手前
選者の俊成は
忠度の名前を挿入出来なかった
ここから
世阿弥は『能 忠度』を始めるのです
シテの老人が登場する
そして
「この桜の木は墓標である」と
若木の桜の下に埋められている屍が
老人の姿で
ワキの俊成の弟子である僧の前に現れ
語りかける
行き暮れて木の下陰を宿とせば
花や今宵のあるじならまし
この歌を示した時
そして
シテである老人が
弔ってほしいと
ワキの僧に話した時…
ここから後半です
忠度は
後シテとしてありし日の甲冑姿で
僧の前に現れます
さあ
ここから 次回の講義ですね
まずは
平家物語巻九 忠度最期
から入りましょう
そして
世阿弥が
それを元に
私たちにそれをどう伝えようとしたか
世阿弥の目を通して
今を
この現代に通じる何かを
探っていきたいと思っています
受講生の方々は
レポートも待っています
ゆっくりと
個々人の人生観とお待ちの視野にて
それぞれの古典を
紐解いて頂きたい
そう思っています
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