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taihukai2004

いとおしさの気づき


山あいの村 松野町


そこに5年ぶりにつどった人々

神戸ナンバーも広島ナンバーも

まあ県外からも続々と

高速は列をなしていました。


さあ

ハーフマラソンが始まる秒読み開始です。

沿道では応援の人たち

農家の家からもみんな飛び出して声援と手でメッセージを伝えようとしています。


次は

いよいよ私!

3キロを、この起伏の多い山道を、どうこなすか

私には立ちはだかる難題です。


スマートにかっこよく

舞台の上で舞う姿のように?

また昔日の短距離走のエースとして

大記録を背負ってスタート地点に立っている私のように?


完走を狙っている私にとって

姿は永遠の課題です。


上り坂は

ひたすら地面を見ながら腰を折って

まあ無惨

下り坂は

遠く先の景色を見ながら

どう前を行く人を追い越そうか

思案しながら

しかし少しも距離は縮まらない


タイムは少しも早くなかったけれど

遅々としてでも、完走出来たこと


これはまあ上出来でしたよ。


そのあと、

4月半ばとはいえ、炎天下のもと

22キロを走るお嬢さんを

私は3時間近く待ち続けました。


来ない 来ない


少しずつ 走ってくる逆の道を辿り辿り、

遂に遠くから何とか走ってくる彼女を見つけ

安堵し、がんばれーと声を掛けました。


この人は昨日も遅くまでオペをして

殆ど睡眠時間もとれず、の

ハードスケジュールの中での参加です。


今日は特に遅かった


彼女のあとを追いかけて

本部の方に聞くと

救護班と一緒に

倒れている人を救護し、処置し

救護車に乗せた後


一人でまた

ゴール目指して走り始めたそうです。


一人の人間として

私の娘として

そして職業人として


私はいとおしさ

込み上げてきました。


生を受けてから今に至る日々

ひとを心から愛おしいと思うことは

何度あったのでしょう


能楽の学びを始め

泰鳳会を立ち上げ

能という世界を真摯に伝えて 50年余


紆余曲折

試行錯誤

暗中模索

の連続の中


挫折 失望 無力感

でもまた頭を上げて

人間を信じて

学び続けた日々


しかし学びを先行する余り

忘れていたものはなかったか


夢中で熱く教える中で

いつの間にか

片隅で小さくなった感情

いとおしい と思う想い


純粋に、人間が抱く想い

の本質は

永遠に変わらないものであるはず

です。


だから

明日があるし

ひとを信じて今日をこなす自分がいる。


彼女が救護を続けている間


農家の家々からはお年寄りが集まり

ある人は水を、ある人は飴を

そして後から走ってきたランナーたちは

自分の持っているポカリスエットやチョコや

懸命に差し出してくれたそうです。

もちろん

救護班の人たちも!です。


ひとってなんと温かいもの

いとしいもの

を持っているのでしょう


目的はランにある

けれど、

立ち止まって各々自分が今出来ることを無意識にできる


周りの家々のお年を召された方々の優しさも

無限です



さあ

あなたは そして私は

今日という日をどうこなして

あすを迎えるのでしょう


心からいとおしい

と思われる存在になるために

また

いとおしいと思う存在に出会うために

また

そういうことに出会う日々を作るために


今日

そして続く明日

精一杯に,自分なりに

自分の尺度で

こなしてほしい


私は

今日から


5月4日 鳳之会

8日 松山城 二之丸薪能

に向かって

私の元に集まる人々に

能の学びを伝えて参ります。


これは真剣勝負

舞台出演を前にする人々への

容赦ない 愛おしい 厳しさ

始まります。


次回ブログにて

鳳之会詳細は

お伝えさせて頂きましょう


良ければ

5月4日 松山市民会館能楽堂にて

お待ち申し上げます。



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